派遣スタッフの社会保険加入条件とは?
「適用される、されない」ケースを解説

派遣スタッフの社会保険加入条件とは?「適用される、されない」ケースを解説

医療保険、介護保険、年金保険……私たちの生活を保障してくれる「社会保険」は、正社員が加入するものというイメージがあるかもしれません。しかし、派遣スタッフでも、一定の条件を満たせば正社員と同じく、加入が義務付けられています。社会保険への加入が必要となるケースを見ていきましょう。

そもそも社会保険って? 派遣スタッフが加入するメリットは?

そもそも社会保険って? 派遣スタッフが加入するメリットは?

社会保険とは、病気やケガ、老後の生活など、さまざまなリスクに備えて、私たち一人ひとりがお金を出し合って保険による補償を受ける仕組みです。

社会保険の保険料は、本人と事業主の双方が保険料を負担するため、本人の負担が少なくなるというメリットがあります。

社会保険制度として、健康保険、介護保険、年金保険の社会保険3種と、雇用保険、労災保険の労働保険2種のあわせて5種類があります。それぞれの保障の内容を簡単に見てみましょう。

健康保険

病気やケガなどの際に、本人の医療費負担を抑えます。また、出産したときに一時金が支給されたり、出産で会社を休んで事業主から報酬が受けられなかったりするときに手当金が支給されます。

介護保険

介護が必要になった場合(要介護認定)、介護サービスを原則1割負担で受けることができます。40歳になると介護保険に加入が義務付けられ、健康保険と一緒に徴収されます。

厚生年金保険

老後の生活を保障する老齢年金の他、病気やケガなどで障害が残ったときの障害年金、被保険者が亡くなったときに遺族に支払われる遺族年金など、将来的に生活が厳しくなったときに備える保険です。

雇用保険

何らかの理由で失業して、収入が途絶えたときなどに、いわゆる「失業保険」を受けることができます。また、失業保険を受給している人が再就職をした時などにも、手当が支給されます。

労働者災害補償保険(労災保険)

業務上または通勤途中の事故によって、病気やケガをしたり、障害が残ったり死亡したりした場合に、本人や遺族に保険金が給付されます。労災保険は全額事業主が負担するもので、派遣スタッフの場合は派遣会社が保険料を負担します。

適用範囲が拡大、派遣スタッフの社会保険加入条件は?

適用範囲が拡大、派遣スタッフの社会保険加入条件は?

5種類の社会保険のうち、雇用保険や労災保険と、健康保険・介護保険・厚生年金保険では加入条件が違います。

労災保険は、労働者であれば誰でも自動的に被保険者になります。雇用保険は、「1週間の所定労働時間が20時間以上」で「31日以上の雇用が見込まれる場合」に加入となります。労災保険と雇用保険は労働保険とも呼ばれ、労働者であれば、比較的間口の広い保険です。

一方、社会保険である健康保険・介護保険・厚生年金保険は加入条件が異なります。派遣スタッフの場合、次の条件を満たすと加入となります。

  • 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上(一般的に週30時間以上)であること

さらに、上記の条件を満たしていない短時間労働者でも、2016年10月から適用の範囲が拡大したことで、次の4つの条件をすべて満たせば加入することになりました。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 契約期間が1年以上の見込みであること
  • 賃金が月額8.8万円(年収106万円)以上であること
  • 学生ではないこと

この適用範囲の拡大で、社会保険の加入対象となる派遣スタッフの数が大きく増えました。ただ、満たすべき条件が複数あるため、自分の働き方が社会保険の加入対象になるのかどうか分かりにくい場合もあるでしょう。そこで、実際の働き方を例にとり、社会保険が適用されるケース、適用されないケースを詳しく見ていきます。

派遣スタッフに適用されるケース、適用されないケース

派遣スタッフに適用されるケース、適用されないケース

派遣スタッフに雇用保険を除いた社会保険(健康保険・厚生年金保険)が適用されるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。加入条件を、契約期間と労働時間でそれぞれ見てみましょう。

派遣契約の期間が2カ月以内でも適用される?

弊社では基本的には契約期間が2カ月以内では適用されません。ですが、例えば、初回契約は2カ月以内の雇用契約であったものの、その後も引き続き就労することになった場合は、更新契約の初日を加入日として社会保険が適用されます。ただし、派遣会社により加入条件が異なりますので、派遣元の条件をご確認ください。

また、社会保険に加入している方の雇用契約が終了し、派遣での就労がない空白期間を経て再び派遣就労を開始する場合、終了日までに同じ派遣会社で次回の雇用契約(1カ月以内に開始し、契約期間が1カ月以上のものに限る)が確実に見込まれる場合は、保険の資格が継続となります。

時短勤務でも適用される?

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上(一般的に週30時間以上)という条件を満たせば、時短勤務でも適用されます。例えば次のような働き方になります。

  • 1日8時間、週4日勤務で10月1日から12月1日まで契約

また、短時間労働者でも社会保険の加入対象となる4つの条件をすべて満たす働き方は、例えば次のようなものになります。

  • 1日5時間、週4日勤務で1年契約、時給1200円
  • 1日7時間、週3日勤務で1年契約、自給1200円

加入の際の手続きは?

加入の際の手続きは?

社会保険の加入手続きは、基本的に派遣会社が行いますが、「自動的に切り替わるものではない」ということは認識しておきましょう。加入しているのが国民健康保険・国民年金の場合や、親や配偶者の社会保険に被扶養者として加入していた場合などは、本人が脱退の手続きをする必要があります。

また、派遣先との契約が終了し次の派遣先が決まっている場合でも、次のお仕事開始日まで1カ月以上間が空く場合は社会保険の被保険者ではなくなります。ただし、2カ月以上全国健康保険協会(協会けんぽ)などに加入している場合は、被保険者でなくなってから20日以内に継続手続きをすることによって、全額自己負担で社会保険を継続することもできます。

扶養内で働く上でのポイントは?

扶養内で働きたいと考えている場合、例えば、次のようなケースであれば、社会保険の加入条件を満たしていないため、加入する必要はありません。

  • 1日5時間、週3勤務で1年契約、時給1,200円

    ※1週間の所定労働時間が20時間以上、賃金が年収106万円以上という条件を満たさない

今回のまとめ

社会保険に加入する、しないは、働き方によって異なります。社会保険のメリットやデメリット(扶養内で働く場合など)を考慮しつつ、自身に合った働き方を選択するようにしましょう。

スタッフサービスでお仕事が決まったら、全国健康保険協会(協会けんぽ)の被保険者になります。ご不明点があれば、お電話やマイページなどからお気軽にお問い合わせください。

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