年齢と共に起きる体の不調……定期健康診断を受けて早めに対策を

年齢と共に起きる体の不調……定期健康診断を受けて早めに対策を

生きている私たちは年齢を重ねていますが、ついつい「自分の体の衰え」から目をそらしてしまいます。

「疲れが抜けにくくなった」「息切れするようになった」「毎朝頭痛がある」。
10代や20代のころには感じなかったそんな症状も、いつの間にか慣れて「そんなものだ」と受け入れている人かもしれませんね。

ただ、その不調、いつまでも放っておくと大変なことになる恐れも……。今回は、特に30代後半以降の人に気にしてほしい、「体の不調」と「健康診断の重要性」について解説します。

30代〜40代の内臓脂肪は、20代の2倍!?あなたが気付いていない「加齢」の影響

30代〜40代の内臓脂肪は、20代の2倍!?あなたが気付いていない「加齢」の影響

自分が年齢を重ねていることは、なかなか自覚ができないもの。しかし、「体の不調」というかたちで、徐々に「加齢」が忍び寄ってきているのです。

健康の指標の1つである「基礎代謝量」は、10代~20代をピークとして、徐々に衰えていきます。女性の場合は15歳の頃がもっとも基礎代謝に優れており、その後は緩やかに下降線をたどっていきます。

「内臓」にも影響があります。生活習慣病(高血圧・高血糖・脂質異常症)と深い関わりのある「内臓脂肪」も、30歳未満と30代~40代では1.5倍~2倍以上もの差が生じてしまっているのです!

加齢とともに体調が悪くなりやすくなったり、太りやすくなったりすることで、「年をとったこと」を否応なく自覚させられていっている方も多いことでしょう。

統計から見る、30歳以上の健康の悩み

統計から見る、30歳以上の健康の悩み

実際のところ、どのようなことに苦しんでいる方が多いのでしょうか?
株式会社電通九州が、同社の商品を利用したことのある30歳以上の女性約1万人に対して行ったアンケート(2015年8月実施)を見ていきましょう。

このアンケートによると、健康関係に関する悩みの1位は、「肩こりや腰痛」。

腰痛に悩む人のうちの6割程度は女性と言われています。腰痛や肩こりのリスク要因のひとつが、腰回り・肩周りの筋肉の不足であるため、男性に比べて筋肉量の少ない女性が、男性よりも腰痛や肩こりの悩みを抱えやすい傾向にあるのです。ひどい人では10年以上もこの不調に悩まされていることもあります。

次に悩む人が多いのは、「肥満」。すでに説明した通り、人間は年をとるとともに太りやすくなります。30代以上~40代で、特に肥満を意識し始める人が多くなる傾向にあるでしょう。アンケートはこの後も、「視力の低下」「疲れが取れにくい」「新陳代謝悪化」と続きます。

加えて女性なら特に気になるのが、「更年期の症状」。更年期に差し掛かると、急に汗が噴き出たり、イライラが収まらなくなったり、だるさや腰痛、肩こりなどがおきたりします。また、めまいや関節痛を伴うことも。

卵巣機能の衰えによって生理が不規則になってくるのが45歳前後のため、50代以降が更年期のひとつの目安となりますが、現在は30代後半~40代前半でも更年期症状に悩まされる人もいます。

30代を過ぎてからは、このように気づかない間に迫っている「危機」に敏感に気付いて対策を取らなければ、どんどん不調が積み重なっていくでしょう。

出展:電通九州「通信販売利用実態調査」

健康診断は個人で受けると意外と高い!

健康診断は個人で受けると意外と高い!

「加齢による体の不調」を、完璧に防ぎきるのは難しいですが、内臓脂肪とつながっている「生活習慣病」などは、早期発見できれば、それだけ早く対策を取ることができるでしょう。そのためには、定期的な「健康診断」が欠かせません。

健康診断では一般に、「血圧」「脂質」「血糖値」「視力」の測定がおこなわれます。また、心電図の検査や肝機能の状態の確認なども実施されることが多いようです。不調が出て病院に行くのではなく、その前に不調の「芽」を発見するためには、健康診断はとても役立ちます。

ただ、気になるのがお金の話。「健康診断」は原則として、保険が適用されません。そのため、全額自己負担で受けることとなります。

個人で健康診断を受けた場合、項目の数や病院によっても異なりますが、安い場合でも5000円はかかると思っておくとよいでしょう。高い場合には2万円を超えることもあります。健康診断だけでなく、人間ドッグで身体中、すみからすみまで検査してもらう場合は、10万円単位の費用が必要となり、20万円~30万円ほどの金額になることも珍しくありません。

このように、健康診断や人間ドックは決して安くはありません。命に値段はつけられないとはいえ、1年や半年に1回これだけのお金を出すのは、少しためらってしまう方もいるでしょう。そこでみなさんには、会社の健康診断を受けるという選択肢をおすすめします。

健康診断を受けさせるのは、会社の義務。もちろん派遣会社も

健康診断を受けさせるのは、会社の義務。もちろん派遣会社も

法律(労働安全衛生法第66条)により、事業者(会社)は、労働者に対して健康診断を受けさせる義務を負っています。「雇用のタイミング」と「1年間に1度」健康診断が義務付けられているのです。

異常があるとわかった場合は、その後の従業員の措置について医師の意見を聞く必要もあります。実施しない会社側には罰金などペナルティが課せられます。

ちなみに、勘違いされることもありますが、この健康診断は正社員だけを対象におこなわれるものではありません。派遣社員についても、派遣会社側が健康診断を受けさせる法的義務を負っているのです。

そのため、派遣会社に登録しているスタッフなら会社から支給される病院のリストを参考にして、無料で診断を受けられます。受診資格は派遣会社ごとに異なり、一定の勤務日数や勤務時間を条件として定めている場合が多いです。受診資格を取得している方なら、利用しなければ損ですよ!

この、会社の健康診断では、「血圧」「脂質」「血糖値」「視力」など基本的な項目を検査できます。一部の例外(たとえば胸囲なら、BMI指数20以下や40歳未満の人など)はありますが、無料で自分自身の健康状態をチェックし、将来へ備えられるのは、非常にお得だと言えるでしょう。

また、これに加えて、オプションでほかの検査を受けられることもあります。女性特有の臓器である子宮の検査や、乳がんなどの重い病気に悩まされることのある乳房などがその代表例です。ただしその場合、自分である程度の費用を負担する可能性もあるため、事前に担当者に相談しましょう。

今回のまとめ

「たしかに1万円は安くはないけれど、出せる金額。無理に同じところで働かなくても……」と思う方もいるかもしれませんね。

しかし1年に1回、自分の意志で、毎年定期的に健康診断を受けられる人ばかりではありません。なんとなく面倒になったり、忙しさで忘れてしまったり、お金がもったいなくなって受けなくなってしまったりすることもあります。特に現状でまだ自覚症状がないなら、なおさらです。

しかし、会社の健康診断は強制力を持ちます。業務命令の一環として健康診断を受けさせられるため、「忘れた」「行かなかった」「もったいなくて行けなかった」ということがありません。「お金」と「強制力」の2つであなたの健康を支えてくれるのです。ぜひ、会社の健康診断を利用してみてくださいね!