
みなさんは、自分の敬語に自信はありますか?
知っているつもりでも、気が付かないうちに間違った使い方をしてしまっているのが敬語の怖いところ。ビジネスシーンで敬語をうまく使い分けることは意外と難しいですよね。
しかし、お客様や上司・先輩など目上の人に対して、シーンに合った正しい敬語を使うことができれば、「丁寧なコミュニケーションがとれる」「相手からの信頼を獲得できる」「意見を伝えるときに角が立たない」など、良いことばかりです!
そこで今回は、間違いやすい敬語や、正しく使えば印象をよくする敬語を解説します。敬語に自信がある人もない人も、あらためて正しい敬語をおさらいしておきましょう!
まずは基本から!敬語の種類を確認しよう

敬語には大きく分けて、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。
尊敬語は相手側、または第三者を敬う目的のもの。主語となる人物を立てて述べる形で使われます。逆に謙譲語は、動作を受ける相手に対する敬意を示します。自分がへりくだることによって、間接的に相手を立てる種類の敬語です。そして丁寧語には、聞き手に対する敬意を表す働きがあります。ただ、丁寧語は直接的に相手への敬意を表す言葉ではないため、尊敬語や謙譲語と併せて使うことを心がけましょう。
敬語のつもりが逆効果?間違った表現に注意しよう

敬語を使う際は、目上の人に使っても大丈夫か、過剰な表現になっていないか注意が必要です。シーン別に注意したいポイントをチェックしましょう。
・相槌を打つとき
×「なるほどですね」
○「おっしゃる通りです」
「なるほど」は、相手の意見を評価するニュアンスを含んでいます。敬意を示しながら、相手に同意できる「おっしゃる通りです」に言い換えるのが最適です。
・相手に確認を求めるとき
×「よろしかったでしょうか」
○「よろしいでしょうか」
過去のことを聞いているわけではないのに、過去形にするのは間違いです。相手に押し付けてしまう印象があるので、現在形に言い換えましょう。
・謝罪をするとき
×「すいません」
○「申し訳ございません」
「すみません」や「ごめんなさい」は一般的に使いがちですが、ビジネスシーンで反省の意をより丁寧に伝えるには「申し訳ございません」の方がよいでしょう。
【社外編】
自分の受け答えひとつで会社の印象が左右されてしまうこともあるため、社外の人と話すときには一層の注意が必要です。会社の代表としてみられても恥ずかしくないよう、正しい敬語の使い方を身につけましょう。
・社外の人からの電話で上司への取り次ぎを頼まれたとき
×「△△部長は席にいません」
○「(部長の)△△は席を外しております」
社外の人に対して社内の人のことを伝えるときは、謙譲語を使います。たとえ自分にとっては上司であっても、「△△部長」「△△様(さん)」など敬称を付けないように注意しましょう。敬称を付けたい場合は、「部長の△△」と苗字の前につけるとよいでしょう。
・社外の人からの電話で名前が聞き取れなかったとき
×「お名前を頂戴してもよろしいですか?」
○「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいですか?」
「頂戴する」は、「もらう、受け取る」の謙譲語です。名前はもらうものではなく聞くものであるため、このように言い換えましょう。
・こちらから相手先に訪問する意向を伝えるとき
×「お伺いさせていただきます」
○「伺います」
上記の間違った例文では、「お」と「伺う」と「いただく」の3つの敬語が使われており、三重敬語になっています。1つの文章に使う敬語は、なるべく1つにすることを心がけましょう。シンプルに「伺います」とすれば、すっきりとした表現でありながら敬意も示すことができます。
【社内編】
自分では丁寧に話しているつもりでも、意外と誤った表現を使っているかもしれません。上司や先輩が気にしているなんてことも……。一緒に仕事をする時間が長い社内の人達だからこそ気持ちの良いコミュニケーションを取りたいですね。
・社内で挨拶をするとき
×「ご苦労様です」
○「お疲れ様です」
「ご苦労様です」は、目上の人が自分のために尽力してくれたことをねぎらうときにかける言葉ですので使うと失礼にあたります。
・上司からの指示を受けるとき
×「了解しました」
○「かしこまりました」/「承知いたしました」
「了解」は上の立場の人から同等もしくは目下の人に使う表現のため、上司や先輩、取引先やお客様に対して使うのは避けましょう。
・上司に相談するとき
△「この件、どうしましょうか」
○「この件、いかがいたしましょうか」
相談をする際の「どうしましょうか」には、尊敬語も謙譲語も含まれていません。謙譲語の「いかがいたしましょうか」を使うことで、敬語表現になります。
・上司の意向を社内に伝えるとき
×「部長がおっしゃられていました」
○「部長がおっしゃっていました」
「言う」の尊敬語「おっしゃる」と、尊敬語の「〜られる」を同時に使った二重敬語になっています。1つの文章に使う敬語は、なるべく1つにすることを心がけましょう。
覚えておくと役に立つ、クッション言葉

相手にお願いをするときや、相手にお願いされたことをお断りしなければならいときなど、直接的に言いづらい本題の前に添えることで表現を和らげる「クッション言葉」。もしもの時に使えるよう、覚えておきましょう。
・お願いをするとき
「お手数ですが〜(ご記入をお願いいたします)」
「差し支えなければ〜(お電話番号をお聞かせください)」
「重ね重ね恐縮ですが〜(資料のご確認をお願いいたします)」
「お忙しいところ大変恐縮ですが〜(よろしくお願いいたします)」
・お断りするとき
「申し訳ありませんが〜(弊社では対応できかねます)」
「ご期待に添えず大変申し訳ございませんが〜(お断りさせていただきます)」
・報告するとき
「お話中、大変恐縮ですが〜(お電話です)」
「あいにくですが〜(外出しております)」
「おかげさまで〜(たくさんのご依頼をいただいており、返答が少し遅れますこと、ご了承ください)」
便利なクッション言葉ですが、使いすぎると話の内容がまとまらなかったり、まわりくどくなってしまいます。その場に適したクッション言葉を、必要に応じて使いましょう。
使えると好印象! ワンランク上の敬語を覚えよう

敬語の基本的な使い方を押さえたら、次は使えると好印象を持たれるワンランク上の敬語を覚えて、周囲と差をつけましょう。
・上司に急ぎで書類を確認してもらいたいとき
×「明日までにこの書類を確認してください」
○「お忙しいところ大変恐縮ですが、明日までにこちらの書類のご確認をお願いできますでしょうか」
「〜してください」は、行動を急かす印象があります。「〜をお願いできますでしょうか」とすることで、敬意の気持ちを損なわずに相手に依頼することができます。
・上司にほめられたとき
○「とんでもございません」
◎「ありがとうございます。ご指導のおかげです」
謙遜する表現も間違いではないですが、ほめられたことを受け止め相手に感謝の意を伝えるとさらによいでしょう。
・上司に意気込みを伝えるとき
○「がんばります」
◎「ご期待に添えるよう精進いたします(がんばります)」
「がんばります」でも問題はありませんが、具体的に何を努力するのかを加えることでより丁寧な印象を与えることができます。
・メールで感謝の気持ちを伝えるとき
△「取り急ぎ、お礼まで」
○「まずはお礼を申し上げます」
メールであっても、しっかりと感謝の気持ちを伝えるためには、「まずはお礼を申し上げます」と伝えるのがスマートです。
今回のまとめ
「敬語を使おう」と意気込めば意気込むほど、上手に使えなくて失敗してしまった、失礼だと怒られてしまった…なんてことがあるかもしれません。しかも、敬語の誤りは自分ではなかなか気づきにくいもの。これを機に自信がある人も無い人も、あらためて正しい敬語の使い方を確認してみてはいかがでしょうか。
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