職場でイライラや怒りを感じたら……
ストレスをマインドフルネスでコントロールしよう

職場でイライラや怒りを感じたら……ストレスをマインドフルネスでコントロールしよう

上司から突然怒られたり、取引先から理不尽な要求をされたり、何となく将来が不安になったり、「なんで私が……」「このままでいいのかな」という気持ちがこみ上げてくることがある人も多いのでは?その感情を無理に抑えようとするとストレスがたまるばかり。「うまくいかないな」と感じたときは心と体が疲れている証拠。

その疲れを取り除く方法として今注目を集めているのが、マインドフルネスです。マインドフルネスは、今の自分の感情をあるがまま受け入れてコントロールすることで、怒りやストレスと上手に付き合っていくメソッドです。そこで今回は、マインドフルネスの方法をご紹介します。

グーグルも取り入れたストレスマネージメント、マインドフルネスとは

マインドフルネスは、世界のエリートを擁するグーグルが、頭だけでなく心も鍛えるために取り入れられたことで、一気に世界中に広まっていきました。マインドフルネス(mindfulness)とは「穏やかでいながら注意深く今ココに集中している心の状態」のこと。つまり、心や頭の中にあるもやもやとした雑念を洗い流すことでスッキリとして、フラットで無に近い状態でいられるのです。マインドフルネスな状態になる、効果的な方法の一つが瞑想です。呼吸に集中することで、感情を切り替えて、ネガティブな感情を上手にコントロールできるようになります。怒りやイライラ、悲しみなど、自分の中に生まれた感情に対して良い悪いなどジャッジすることなく、ありのままに受け入れて上手に付き合っていきましょう。

シーン別に解説!職場で感じるストレスとうまく付き合っていくには?

シーン別に解説!職場で感じるストレスとうまく付き合っていくには?

マインドフルネスを取り入れて、自分の「感情」を客観的に「見る」ことで、感情に引きずられない状態に近づきます。実際にストレスや怒りを感じた際に、どのように対処すればいいのかを見ていきましょう。

・上司に理不尽に怒られた
イライラ、怒り、不安、不満などネガティブな感情が湧いてくることは誰にでもあります。とはいえ、怒りの感情のピークはたったの6秒だといわれています。まずは「1、2、3……」と6まで数え、心を落ち着かせましょう。そこから深呼吸を3回、吐く方を長くゆっくり行います。気持ちが落ち着いてきたら、冷静に対処法を考えましょう。

・自分だけ仕事が多く不安やストレスに負けそう
気持ちが晴れないときは、自然が目に入る場所に行き、爽やかな緑や綺麗な空などを眺めましょう。その後、目を閉じて、呼吸を整えてから仕事の優先順位を考えるなど、頭の中を整理します。仕事量が多くてこなせないということがあれば、リストアップして早めに上司に相談しましょう。

・明日の会議が心配で眠れない
「心配」「眠れない」ということに押しつぶされるのではなく、ありのままを受け止めます。その上であえて呼吸に意識を集中していきましょう。その際に浮かんだ事柄やネガティブな気持ちも「そうだよね」「心配なんだね」「眠れないんだね。でも大丈夫」と認めていくと心が落ち着いて、再び呼吸に集中できるようになります。

・通勤電車がつらい
毎朝の満員電車は苦痛ですよね。そんなときは、スマホはバッグにしまい、つり革につかまってまっすぐ立って足を軽く開き、両足の裏に均等に体重が乗るように立ちます。軽く目を閉じて深呼吸をして大好きな場所やくつろげるイメージングをすれば、通勤時間にも瞑想を行うことができます。

・苦手な上司と話さなくてはいけない
苦手な怖い上司でも失敗して冷や汗をかくこともあるし、家庭内では小さくなっているかもしれません。どんな人にも完璧な人は存在せず、可愛い短所があるものと考えて、心を楽にしてみましょう。

・やる気が出ない
気持ちを立て直すには、瞑想とエクササイズを取り入れることがおすすめです。例えば、軽いジャンプを1分間して、その直後に呼吸が整うまで瞑想を数分間行います。この2つを3セット組み合わせてみてください。体が芯からポカポカして、次第にやる気が出てきます。

心を整える簡単マインドフルネス瞑想法

心を整える簡単マインドフルネス瞑想法

どうやってマインドフルネスを取り入れたらいいのか、誰でも簡単にできるマインドフルネス瞑想法について、マインドフルネス講師の人見ルミさんに教えていただきました。

  1. 瞑想の環境を整えます(雑音がなく1人で静かになれる場所が理想)。
    雑音もしくは無音が気になる場合はヒーリングミュージックをかけましょう。
  2. 体のどこにも緊張が入らないように座り、背筋はまっすぐにします(椅子でもあぐらでもOK)。
  3. 親指と人差し指で輪を作り膝の上にのせたら、姿勢を整えて目を閉じます。
  4. 初めは5秒カウントしながら呼吸を吸って、吐くときは7、8秒かけてゆっくりと長く吐いていきます。
  5. カウントをしながらの呼吸法は全体で2、3分行い、その後は、楽な自然呼吸にして瞑想に入ります。
  6. 瞑想中は鼻から入る呼吸に注意を払い、お腹に入ってくるときに「お腹が膨らむ、膨らむ」と心で唱えるといいでしょう。呼吸が出て行くときには、「お腹が縮む、縮む」と唱えます。
  7. 呼吸はゆっくり丁寧に行います。鼻から吸って、鼻から吐きます。途中で雑念が湧き上がったら、川の水面を流れてくる落ち葉を見るようにありのままを見て、その後見送ります。
  8. 初めは5分くらい続けるといいでしょう。集中が途切れたら瞑想を終えます。

この方法はいつでもどこでも簡単にできる瞑想法です。仕事や人間関係でなかなかうまくいかず悩んでいる原因は、心と体の疲れにあります。その原因を取り除くために、少しでもストレスを感じたら、ぜひ実践してみてください。

今回のまとめ

日々忙しく呼吸の浅い現代人にとって、意識的に深い呼吸を取り入れるだけでも、心や体が変わってくるのを実感できるはずです。仕事や職場の人間関係を円滑にするためには、ストレスと上手に付き合っていく必要があります。職場でイライラや怒りを感じたら、マインドフルネスを実践してみてはいかがでしょうか。

人見ルミ

【取材協力・監修】

人見ルミ
マインドフルネス講師
株式会社サンカラ

ニュースレポーターなどを経て報道ディレクターに転身。数々のTV番組を手がけるも、29歳で単身インドへ渡航し、本場のヨガ・瞑想といった、マインドフルネスのエッセンスを学び、生き方の価値観がガラリと変わる。
帰国後、(株)船井メディアにスカウトされ、会員誌の編集長に就任。取材を通じて約800名を超える一流の著名人や経営者の仕事ぶりや人生の成功エッセンスに触れ、事業を成功に導き、常務取締役に就任。その後、マインドフルネスでイキイキと生き方を変えていく方法を伝える(株)サンカラを設立。現在、大手上場企業から中小企業まで、マインドフルネス企業研修の実績ではトップクラス。
著書に「潜在能力を120%引き出すマインドフルネスストレッチ」(KADOKAWA)、 3万部を超えベストセラー入りした「心を整えるマインドフルネスCDブック」(あさ出版)ほか多数。